『ミステリアスと噂の遥くんが、2人になると甘すぎるんです』
ここに来る途中は、新しい生活に対する不安が大きくて、
街の景色なんてこれっぽちも見ていなかった。
 

サラサラという、まるで泡が膨らむような淡い音がした。
その先では、麦色と黄緑色がまばらに散らばった大きな田んぼが広がっていた。

ああ、ここ、田舎だ。


辺りを見渡してようやく気が付いた。
なにもない。

高く上に伸びている唯一の建物は、電波塔だけだった。



秋の涼やかな風に吹かれて静かな街に耳を澄ましていると、
久しぶりにため息が零れた。
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