ルミナス~双子の王女と7人の騎士団長~
「うん、これが成功出来れば、同じ要領で他の基本性質でも可能になるかもしれない。」




器用なアーサーだから、たとえ時間がかかっても邪魔をされても必ずやり遂げられる気がする。





「あんたは器用なんでしょ?

なら、可能になるかもじゃなくて可能になるよ。」




「…うん!俺、頑張るからさ。

ルチア様にはやり遂げられるまで見届けてほしい。」




心臓の辺りがズキッと痛む。


だって、私は……。



約束するよって嘘をついても良かった。
嫌われれば人に関わることもないから。


…言えないよ。



純粋で素直な彼には、嘘をつくことができなかった。



表情筋が固まっているけど、私なりに口角を持ち上げた。


「話だけでも聞けて良かった。

明日、私ルイと会談に行くことになったから今日は早く寝る。

で、お願いなんだけど…
また明日も私だってわからないように令嬢っぽい髪型とメイクしてくれない…?」



「もちろん!

ルチア様のお願いを断る理由なんてないよ!」



「ありがとう。」



「今度はちゃんと聞こえた!」



アーサーは満面の笑みを私に返してくれる。



私、彼に向けてぎこちなく口角を上げることしかできてないのに。



心の中で謝っておく。



明日は、今日以上に口角を上げなければならない。


休める時に休んでおこう。
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