フォンダンショコラな恋人
「だから上手くいかないことの方が多かったりするんだけどな。弁護士になってからは、そのステータスにひかれて集まってくる人も多いから」
「ああ……」

弁護士になってからは、と言われて翠咲は納得した。

それは確かにそうなのだろう。
そういう人がいるんだろう、ということも分かる。翠咲の会社でもそうやって騒いでいるのを目にしたことがあるから。

「翠咲は外見だけにとらわれていないところが好きだ」
「あら、とらわれているわよ。陽平さんのお顔はとっても好きだわ」

記憶力の良すぎる彼氏ってどうなんだろうか。
「試してみる?」

とても綺麗な顔で首を傾げて顔を覗き込まれた。
それに翠咲も笑顔を返す。

「何をかな?」
「吹いたら折れそうかどうか」

いたずらっぽい顔、むっちゃ可愛いんだけど。

陽平とのキスは気持ちいい。
唇の触れ合う感触も、舌が甘く吸われる時の感じも、時折、ちゅ……と聞こえる音も。

すごくすごく気持ちよくて、頭がどんどん真っ白になってゆく感じも、陽平だけが翠咲をいつもこんな気持ちにさせる。

そうしてキスだけに夢中になってしまって、いつも気づいたら肌に触れられている。
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