フォンダンショコラな恋人
「本当?じゃあ、明日役所行く?」
極端っ!!

「陽平さん、私はあなたのことが大好き。それにあなたが合理性を何より重視していることも理解しているし、私もどうもその方が心地いいみたいなの」

「だから、翠咲は好きなんだ。あーもう、無理。翠咲しかいらない」
えーと、この人はとても優秀な弁護士なのよね?

翠咲をきゅうっとしている陽平を翠咲もなでなで、と撫でる。

こんな語彙力の崩壊している陽平はきっと誰も見たことがないだろう。
そう思うとふっと翠咲の表情も緩んでしまった。

「いいよ。結婚前提の同棲、ね」
「結婚してもいいんだって」
「だーからー、それは順序を経て、にしましょうね?倉橋弁護士?」

「明日、翠咲のご両親に挨拶に行く!」
「急に行ったら、びっくりしちゃうよ」
先日の沢口のことがあってから、陽平はことさらに翠咲に甘くなった。

──甘くなったというか過保護というか……。

その後、一度だけ翠咲は一人暮らししていた部屋に帰ったのだが、妙にさみしかったし、一人になると不安でもあった。
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