フォンダンショコラな恋人
陽平と一緒にいることは、思いのほか楽しかったから。
だから、結局陽平に乞われるがまま、今の陽平のマンションに居着いてしまっていることも間違いのない事実なのだ。

いわく一人では危ない、また何があるか分からない、あげく僕が不安になるから目の届くところにいて、である。

心配してくれる人がいるのは嬉しい。
翠咲は最近は外見はともかく中身が熱くて甘い、この人に甘やかされるのは悪くないなあと思うようになったのだ。

「明日じゃなくてもいい。けど本気でご両親にご挨拶していいと思うならアポ取ってくれる?」
「いいよ」

アポ……って業務じゃないっていうのに……。
けれど、翠咲はすぐにその場で電話する。

『翠咲? どうしたの?』
電話に出た母親が急な翠咲からの電話に驚いていた。

「あ、お母さん? 急にごめんね。えーと、来週……」

陽平の顔に『今週!』と大きく書いてある。

「いや、今週末時間あるかな?お父さんも一緒に。晃希(こうき)はいる?」
『あら……いいお話?ちょっと待ってね』
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