フォンダンショコラな恋人
陽平の運転する車で、翠咲の実家に向かった。マンションからはほんの30分くらいの距離である。

郊外に程近い場所の一軒家で、なかなかに立派な家だ。
ごく普通の家庭のやや上の方、という感じだった。

門を開けて中に入るとポーチには花壇が作られており、可愛い花がたくさん植えられている。
いかにも幸せな家庭、という感じだ。

翠咲は玄関の呼び鈴を押した。
「ただいまー」
中からは父親と母親が一緒に出てくる。

「おかえり。えーと……」
「倉橋陽平と申します」

陽平は頭を下げてきっちり挨拶をして、父には名刺を渡していた。

「え?弁護士さん?」
「はい」

「あら、弁護士さんなの?すごいわね」
二人ともびっくりしている。

どうぞどうぞと言われて中に入り、陽平はお土産のお菓子を渡していた。
翠咲は先程からなんだかくすぐったいような感じだ。
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