フォンダンショコラな恋人
その日の夜、陽平が同期と食事をするために指定されたのはイタリアンの個室のある店だった。

関係者が集まって飲食する場合はたいていそうしている。

情報を漏らすようなことは皆話さないし、そこは十分理解しているけれど、個別案件の話ではなくても、話の内容で法曹関係者だと知られることは望ましくないからだ。

しかも今日会うのは同期で、それぞれの立場が全員違う。

だからこその会話の面白さや法に対する解釈も勉強になったりするから、陽平はこの会がある時は積極的に参加することにしていた。

しかも公判中は言えなかったけれど、裁判官の一人が陽平の同期でもあったので。
終わったら、食事に行こうとは言われていたのだ。

陽平が個室に案内されると、同期の二人がすでに席にいた。

「倉橋!元気そうだな」
「さっき、法廷で見ただろうが」
「まあ、そうなんだけど。一応挨拶としてな……」

白い大きな皿に綺麗に盛られた前菜は、野菜とソースの彩りが華やかで翠咲を連れてきたら喜びそうだなと陽平は思うと、口元に笑みが浮かぶ。

その笑みを見て、同期が引いていることには気づいていない。

「で、あの子が彼女なんだ?」
「はあ?」
裁判中に何を見ているのか。
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