フォンダンショコラな恋人
──もう、本当に花が咲くみたいに笑うから。
そう、最初から大好きな顔。
それが翠咲からのキスで幸せに綻んでいた。

「君は簡単に僕を幸せにするね?」
「私もそんな笑顔見れて、すごく幸せなんだけど」

淡々としていて、表情が動くことなんてないと思っていた人。
こんなにも綺麗な笑顔を見せるなんて、その時は思っていなかったのだ。

「笑顔だけじゃない僕の顔も見せてあげるよ」
それはひどく蠱惑的な表情で、聞いていた翠咲の方が真っ赤になってしまった。

「僕の婚約者は照れ屋で可愛い。ねえ、お互い家族には挨拶は済ませたんだし、入籍しちゃダメかな? あの時は待てって言われたから待ったけど、だいぶ我慢しているんだけどな」

確かに、あの時は翌日にでも婚姻届を出しに行きそうな陽平だったが、あれから翠咲の実家に挨拶に行き、翠咲も陽平の実家に挨拶に行った。

具体的な話は出なかったけれど、翠咲の親も、陽平の親も『結婚さえしてくれたらなんでもいい!』みたいな感じになっていたからだと思う。

多分どちらの両親も結婚について諦めていたからだろう。

「ちゃんと式は挙げるよ。翠咲のドレス姿か、白無垢か分かんないけど、両方でもいいんだけど、絶対見たいからね」
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