フォンダンショコラな恋人
「これで今回の君の立場はあくまでサブなんだから、表には出ないように。案件は法廷に持ち込まれた、ここからは僕らの出番だ。君はもう、頑張らなくていい」

もしかして、慰めている?
突き放しているようにも思えるけれど、違うの……?

「頑張らなくて……いい?」

「ああ。あー、変な風に思うなよ。もう充分頑張ったって話だし、僕はそれを見てきた。それでも、手を出すことは出来なかった。けど、今からは違う。僕が頑張る番だ、と言っているんだ」

腕を組んでとても偉そうで、淡々としているけれど、内容は違う気がした。

だって、少しだけ横を向いている首元が赤い。
翠咲は、ふ……と笑う。

「倉橋先生、頼りにしています。よろしくお願いいたします」
廊下で翠咲は倉橋に頭を下げた。

倉橋が翠咲を見る。
一瞬、笑った気がした。

「まかせなさい」

翠咲は胸がきゅん、と音を立てたのを感じる。
「ね、今、笑いました?」
「笑ってない」
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