フォンダンショコラな恋人
そう返事をする倉橋は、いつもどおりの淡々とした表情だ。

「えー? 笑ったように見えたのに」
「笑ってなんかない」
「笑ってたのにー」
「馬鹿なことを言っていないで、資料をください」

課長には事前に全ての資料をコピーして、弁護士に渡すようにと言われていた。

「はい」
「全く君は……」

倉橋の声が呆れたような声でも、もう翠咲が落ち込むことはなかった。


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