【短】お前が誰のものか分からせてやるよ。
過去は変えることが出来ない。 だからこそ私は、今の気持ちを自分言葉で伝えなければならないのだと思ったんだよ。
一度も瑠衣の顔を見ずに言い切って、席を立とうとしたら腕を掴まれた。
「……言い逃げするな、俺の話も聞け」
あ、自己完結してしまうの私の悪い癖だ。最後まで話を聞かなくちゃ。
大丈夫、何を言われても覚悟はできてる。
瑠衣の顔をじっと見つめると彼の薄い唇から思いがけない言葉を発せられた。
「俺も月乃が好きだ。お前だけは、他の男に譲るわけにはいかないんだよ」
「えっ……!?」
てっきり振られるんだと思っていたから、驚きが隠せない。
彼のストレートな告白に、私の胸の鼓動は加速する。
そんな嬉しいことを言われて、ダメなんて言える訳ない。まっすぐに私を見下ろす瑠衣を見つめ返した。
「ほ、本当なの……?」
「本当だ。俺がお前に手を出さなかった理由は分かるか?ただの友達じゃなくて、本命だから大事にしたかったんだ。結局、なにも進展しないまま卒業したからすげー後悔した。
でも、こうして再会して月乃に恋人がいないって分かって、心底安心したよ。今日こそ、絶対チャンスを逃したくない。俺の彼女になってくれるか?」
ドキッ
瑠衣のストレートな告白に、頭が真っ白になって言葉も出なくなった。
嘘……瑠衣が、ずっと前から私を好きでいてくれてたなんて信じられない!
居酒屋のカウンターでの、ムードのない公開告白。
私たちの会話が聞こえていたのか、周りの客が騒ぎ始めて、囃し立てるような音が聴こえる。恥ずかしいけど、構ってられない。