(仮)愛人契約はじめました
 はっ、しまったっ。
 ぼんやりしてたっ、と唯由が無意識のうちに仕上げてしまった蝶を見ながら思ったとき、

「さ、月子。
 帰るわよ」
と早月が立ち上がった。

「えーっ?
 もうですのっ?」

 まだお姉様に林檎の皮のむき方、習ってるところなんですが」

 残念がる月子を急かして、早月は言う。

「林檎の皮むき機でも買いなさいよ」

「そんなのあるんですの?」

「あるわよ。
 今は可愛いのがいろいろ」

 お母さん、林檎の皮むくために、そんなかさばりそうなもの買うんですか……。

「まあ、うちのは業務用だけどね」

 いや、一体、何個林檎むいてるんですか、と思ったが。

 忙しいときの家事は金ですべて解決な早月らしいと思った。

 まあ、家電や便利グッズそろえた方が家政婦さん雇うよりは安いかな……。
< 344 / 445 >

この作品をシェア

pagetop