(仮)愛人契約はじめました
「私っ、この方と駆け落ちしますわっ」

 スマホをつかんだまま、夢見るように月子は言う。

 何故、いきなり駆け落ち……と唯由たちは苦笑いしていたが、そのくらいの一目惚れだった。

「そう。
 頑張って」
と唯由が微笑む。

「月子、清貴さんは超グルメよ」

「頑張りますわ、おねえさまっ。
 私、おねえさまのスパルタ修行に耐え抜きますっ」

「……義理の妹にスパルタするシンデレラ。
 かぼちゃの馬車も助けに来そうにないな」
と呟く蓮太郎は、まだ、かぼちゃの馬車が魔女の指令ではなく、自由意志で動くと思っていた。



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