(仮)愛人契約はじめました
「結局、蓮形寺って呼んでます」

「お前も雪村さんって言ってるじゃないか」

「私、呼び方変えるなんて言ってません」

「お前も雪村になるんだろうが、ややこしいだろうじゃないかっ」

「あれっ? 蓮形寺蓮太郎になるんじゃなかったんですか?」

「お前と結婚できれば、どっちでもいい。
 そうだ、呼び名と言えば、いい加減、猫を猫って言うのやめろ」

 名前をつけてやれっ、と蓮太郎は言う。

「猫一匹しかいないから、猫でもいいじゃないですか」

「猫を猫って呼ぶのは、俺をニンゲンって呼ぶみたいなもんだろ」

「雪村さんは、ニンゲンじゃなくて、れんれんですよ。

 あ、そういえば、この間、天気予報を見ていたら、
『県東部は派手でしょう』
 って聞こえたんですけど、晴れでしょう、の間違いですかね?

 それから……」

「いや、確かに思ったことを全部言い合おうとは言ったがっ。
 お前がしゃべり出すと全然、いい雰囲気にならないじゃないか~っ」

 ちょっと黙れっ、と蓮太郎が叫ぶ夜。
 いつも通り、まったり二人の時間は過ぎていった――。




                        完


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