政略懐妊～赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方～

　父が見つかったというような話ではなさそう。もしかしてまた新たな借金が見つかったとか？

　アレコレ考えながら私もお茶を啜る。少しの沈黙の後、湯呑をテーブルに置いて伯父は口を開いた。

「率直に言う。千波に縁談の話がある」

「私に縁談って……えっ？」

　予想外の話に耳を疑う。

　縁談ってお見合いのことだよね？　どこの誰が、なぜ私に？

　混乱する中、伯父は渋い顔で続けた。

「千波、庵野不動産会社は知っているか？」

「もちろんです」

　度々メディアで取り上げられるほど、全国的にも有名だもの。国内のみならず海外にも展開している大手の不動産会社。その創業者である庵野家は昔から地主として有名な資産家で、毎年世界長者番付で必ずランキング入りしている。

　だけどなぜ今、庵野不動産会社の話をするのだろうか。

　頭にハテナマークがいっぱい並ぶ中、伯父はため息交じりに言った。

「その庵野不動産会社社長の長男から、千波と見合いがしたいと申し入れがあったんだ」

　現実的ではない話に、目を白黒させてしまう。