政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
『なに言ってるの? 伯母として当然のことをしたまでよ。……必ず元気になった瑠璃ちゃんを無事に連れて帰るからね』

「ありがとうございます」

 通話を切ってからも、いまだに胸はドキドキしたまま。

 もう瑠璃の身体の心配をする必要はなくなるんだ。元気な瑠璃の姿を見ることが今から楽しみで仕方がない。

 きっとお母さんが生きていたら、私と一緒に泣いて喜んでいただろう。母娘で色々なところに行きたかったな。

「お父さんは、どこに行っちゃったんだろう」

 借金を残して姿を消したことに負い目を感じて帰ってこられないだけなら、気にせずに戻ってきてほしい。

 私も瑠璃も、父が生きていてくれさえすればそれでいいもの。母の分まで私たちに親孝行をさせてほしいよ。

 航君はずっと父の行方を捜してくれているけど、まだ見つかっていないと言っていた。本当にどこにいるんだろう。まさかもう会えないとはないよね?

 どん底だった人生だけれど、航君と出会ってから怖いほど幸せの方向へと向かっている。父に関してもいい知らせがくるのではと期待してしまう。

 引っ越しの際に、もし父を見かけたら渡してほしいとここの住所と連絡先を書いたメモを託してきた。

 航君は返さなくていいって言うけれど、きっと話を聞いたら父は借金も瑠璃にかかった医療費も返そうとするはず。父はそういう人だった。……だから借金を抱えていたことを私たちに言えなかったのかもしれない。
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