政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「はい、わかりました」

 私の返事を聞き、少しだけ表情を和らげた伯父は「ちょっと待っててくれ」と言うと立ち上がり、出ていった。

 そして少しして戻ってきた伯父の手には、呉服箱が抱えられていた。それをテーブルに乗せ、伯父は私に開けるよう促す。

「千波が二十歳を迎える時か、これを着るような機会が会った時に渡してほしいと優美に頼まれていたんだ」

「お母さんが?」

「あぁ、入院前に俺に預かってくれと持ってきた。……もしかしたら優美は千波の父親が借金を抱えていることを知り、こうなることを予想していたのかもしれない」

 もし家で母が大切に保管していたら、この着物は間違いなく家とともに差し押さえられていただろう。

 そっと蓋を開けると、可愛らしい淡いピンクと白が混じった振袖が入っていた。

「当時は優美にとても似合っていると思っていたけど、こうして見るとその着物は優美より千波に似合いそうだ」

「そうでしょうか?」

 こんな可愛い着物が似合うと言われ、ちょっぴり照れくさくなる。
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