政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「航だよ」

「こー?」

「そう、航」

 繰り返し名前を口にすると、千波は屈託のない笑顔を見せた。

「航君ね! じゃあ航君、千波が大きくなってシンデレラみたいにいじめられちゃったら、王子様のように助けに来てね」

 どうやら千波が影響を受けているのはシンデレラのようだ。

「航君は知ってる? 王子様はね、いっぱいいるお姫様の中からシンデレラを見つけてくれるんだよ! すごいよね!」

 興奮気味に言う千波に思わず頬が緩む。

「航君はねー、王子様にそっくりなの。だから絶対千波のことを助けてね。それで千波と結婚して幸せになろうねー!」

 無邪気な笑顔で将来の約束をする千波が可愛くて、声を上げて笑ってしまった。

「アハハッ。そっか、俺は将来千波と結婚して幸せになるんだ?」

「うん! そうだよ」

 迷いなく返す千波に面食らう。

「ふふふ。航君、笑うと可愛いね」

「えっ?」

「笑顔が可愛いよ」

 年下の女の子に可愛いと言われ、柄にもなく照れくさくなって顔が熱い。そんな俺を見て千波はますます笑う。
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