政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「照れてる航君も可愛いよー!」

「……うるさい」

 だけどこうして心から笑い、そして照れたことなんていつぶりだろうか。

「やっぱり千波、航君と結婚したい。だから約束」

 そう言って千波は薬指を立てて指きりをしようと言う。

 叶えられない約束をするものじゃない。頭ではそうわかっているのに、なんでだろうな。千波の純粋な笑顔を前にしたら、どうやってでも叶えてあげたいと思ってしまう。

「千波は本当に結婚する相手が俺でいいの?」

 こんなことを聞いたって、きっと千波は俺ぐらいの歳になる頃には忘れているかもしれない。現に俺も小さな頃の記憶は曖昧なのだから。

 それでも聞きたいと思ったのは、あまりに千波は真っ直ぐだからかもしれない。

「うん、航君がいい」

 これも迷いなく言われて心が落ち着かなくなる。

 なんだ? これ。胸が痛い。

 変な苦しさにも襲われながらも、愛らしく微笑む千波から目を逸らすことができない。

「じゃあ約束! 指きりげんまんしよう?」

「……わかったよ」

 自分よりも短い小指に自分の小指を絡めると、千波は「ゆーびきりげーんまん」と言って指を離した。

「えへへ、これで千波は航君のお嫁さんだね」

 照れくさそうに言って千波は俺の隣に腰掛けた。ぴったりと寄り添う千波に心臓は忙しなく動き出す。
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