政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 今まで感じたことのない感情に戸惑う中、千波は自分のことを話し出した。
 
 四歳になったばかりで妹がいること。将来は両親と同じ仕事をしたいこと。保育園に苦手な子がいることなど、様々なことを教えてくれた。

 他愛もない話なのに、千波が必死に説明しているのが面白くてそして嬉しくてたまらなかった。

 こんな風に普通に接してもらえたのは、いつぶりだろう。少なくとも小学校に上がってからは初めてだ。だからか会話が途切れたところで聞いてしまった。

「千波は俺がどんな人間になっても、今のように変わらず話しかけてくれて、結婚したいと思ってくれる?」

 こんなこと聞かれても千波を困らせるだけ。そうわかっているのに、どうしても聞きたかった。たとえ千波が今日のことを数年後には忘れていたとしても……。

 少しだけ緊張しながら答えを待つ中、千波は眉間に皺を刻んだ。

「え? 航君、人間じゃなくなるの?」

 深刻な顔でなにを言い出すかと思えば、変に解釈されたようだ。それにしても人間じゃなくなるなんて……。俺も子供だけど、六歳も年が離れているとこうも考え方に捉え方、すべてが違うようだ。

 それが可笑しくて笑いをこらえながら答えた。
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