政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「違うよ。そうだな、なんて説明したらいいのかな。俺も千波も大人になったら大きくなるだろ? もしかしたら俺は王子様じゃなくなるかもしれない。それでも千波は俺と結婚したいと思ってくれる?」

 千波にとっての王子様がどんな人物像なのかわからないけど、シンデレラを見て王子様に憧れているなら、完璧な男性だろう。

 でも俺は決して完璧な人間じゃない。友達もいないし、人と話すもの苦手だ。そんな俺を知っても変わらずに接してくれるのだろうか。

「航君は航君でしょ? かっこよくて千波の話を聞いてくれる航君が好きだよ。だから絶対に結婚してね!」

 きっと千波は俺と出会い求婚したことも忘れる可能性がある。……それでも信じてみたくなるよ。

 今日交わした約束通り、千波と結婚して幸せになる未来が訪れるかもしれないと。

「千波、お姫様になれるように頑張るから」

「そっか、じゃあ俺も千波にとって王子様でい続けられるように頑張るよ」

 もし千波との間に縁があるなら、きっとまた出会うことができるはず。今日のパーティーに来ているってことは、今後も顔を合わせることがあるだろう。

「うん、頑張ってね! じゃあ千波、もう行くね」

「えっ?」

 出会いも突然なら別れも急なようだ。
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