政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 両親の思いに背中を押され、俺も祖父に反発し続けた。言い伝え通りにしないと庵野家に繁栄がもたらされないと言うが、だったら俺が努力をすればいい。

 言い伝えに頼ることなく俺の力で今後も庵野グループを大きくしてみせる。そうすれば初恋の彼女を堂々と迎えに行けるはず。

 もしかしたら千波も幼い頃に俺と交わした約束を覚えていて、再会を望んでいるのかもしれない。

 俺と両親の願いは神様に届いたのか、相手からも言い伝え通りに結婚することを拒む連絡がきた。

 祖父は肩を落としたが、俺にとっては願ってもいないことだった。双方の気持ちが一致しているなら、さすがの祖父も強く言ってくることはないだろうから。

 相手が二十歳を迎える一年前には、連絡が途絶えたと祖父から聞いた。それまでは何度も相手の家族を説得していたようだけど、これには祖父も諦めたようで俺に結婚するようにしつこく言ってくることはなくなった。

 ますます仕事に精を出し、業務拡大を続ける中、俺は思いもよらぬ事実を知ることになる。
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