政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
それは仕事中にいきなり祖父が会社に押しかけて来た時のことだ。相手の消息がつかめたと嬉しそうに俺の結婚相手を隠し撮りした写真を持ってきた。
最初は門前払いをしたものの、祖父は構うことなく相手のことを話し始めた。
なんでも相手の来栖家は経営していた旅館が破産し、その子の母親は病気で他界、父は借金を残して蒸発。さらに妹は心臓に疾患を抱えていた。
まるでドラマのようなたび重なる不幸に仕事をする手を止め、いつの間にか祖父の話に耳を傾ける自分がいた。
すると祖父は妙に演技がかかった口調で続ける。
「お相手のお嬢さんがあまりにも不憫だとは思わんか?」
「それは思うけど……」
「長年我が庵野家に繁栄をもたらしてくれたご恩を、今こそ返す時だと思うんだ。会うだけ会ってみるのはどうだ?」
祖父の言うことも理解できるが、相手の女性とは面識がない。言い伝えの中の繋がりしかない俺たちに手を差し伸べられても、困るだけではないだろうか。
悩んでいると、痺れを切らした祖父が写真を俺の顔の前に出した。
「ほら、お相手のお嬢さんもとっても愛らしいんだ。見てみなさい」
「ちょっとじいちゃん、近くて見えないから」
最初は門前払いをしたものの、祖父は構うことなく相手のことを話し始めた。
なんでも相手の来栖家は経営していた旅館が破産し、その子の母親は病気で他界、父は借金を残して蒸発。さらに妹は心臓に疾患を抱えていた。
まるでドラマのようなたび重なる不幸に仕事をする手を止め、いつの間にか祖父の話に耳を傾ける自分がいた。
すると祖父は妙に演技がかかった口調で続ける。
「お相手のお嬢さんがあまりにも不憫だとは思わんか?」
「それは思うけど……」
「長年我が庵野家に繁栄をもたらしてくれたご恩を、今こそ返す時だと思うんだ。会うだけ会ってみるのはどうだ?」
祖父の言うことも理解できるが、相手の女性とは面識がない。言い伝えの中の繋がりしかない俺たちに手を差し伸べられても、困るだけではないだろうか。
悩んでいると、痺れを切らした祖父が写真を俺の顔の前に出した。
「ほら、お相手のお嬢さんもとっても愛らしいんだ。見てみなさい」
「ちょっとじいちゃん、近くて見えないから」