政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「離婚って……ふざけるなっ」

 これには思わず大きな声が出てしまった。

「ちょっと兄さん声を抑えて」

 一気に注目を集めてしまい、「悪かった」と謝る。

「だけど兄さんと千波ちゃんは愛し合っているんでしょ? ふたりの気持ちがしっかりしていれば大丈夫だと思うけど、早めに手を打ったほうがいいよ。千波ちゃんにつらい思いをさせたくないだろうし」

「当たり前だ」

 この話を千波が聞いたら傷つけてしまうはず。

「教えてくれて助かったよ。今週末にでも実家に行く」

「うん、そのほうがいいと思う」

 そうとなれば、週末に仕事を残すわけにはいかない。残りの弁当を急いでかきこむ。

「ありがとうな、わざわざ伝えにきてくれて」

「なに言ってるの、俺と兄さんの仲だろ?」

 白い歯を覗かせておどけて言う佑志に頬が緩む。

「千波ちゃんと結婚してからの兄さん、すごく変わったよね。あ、もちろんいい意味でだよ。表情が柔らかくなったし、感情が表に出るようになったよね。子会社にまで、兄さんと仕事がしやすくなったって噂が届いているよ」
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