政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 視線を落としてビーフシチューを口に運ぶ。だけどいまだに千波からの視線を感じて居心地が悪い。

 スプーンが皿に当たる音だけが響く中、千波は静かに言った。

「航君、私に嘘をついていませんか?」

 彼女の話に思わず身体が反応してしまう。

「やっぱり取引先の人と会うっていうのは嘘なんですね」

 確信を得た千波は畳みかけてきた。

「嘘をついてまで会う相手って誰ですか? 私に言えないような人なんですか?」

「それは……」

 言葉が続かない。実家に行くと言えば、その理由を聞かれるはず。その時どう説明すればいい? 両親は今も俺たちのことを反対しており、離婚させようとしているだけではなく、他の女性を俺にあてがおうとしているなど言えるわけがない。

 どうやって伝えたら千波を傷つけないのか考え込む。

「もしかして神屋敷さんに会ってくるんですか?」

「えっ?」

 どうしてここで神屋敷が出てくるんだ?
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