政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 少しだけ頬を赤らめて話す千波に、聞いているこっちが恥ずかしくなるほど。それはみんな同じなのか、祖父と父はわざとらしく咳払いをした。

「お前たち、千波さんが嘘をついていると言うのか?」

「それは……! 思いませんけど」

 祖父の問いに母は言葉を濁して黙り込む。

 千波にばかり言わせておけない。今度は俺の番だ。

 気まずそうにする両親に自分の気持ちを伝えていく。

「何度言っても信じてもらえなかったけど、千波は俺にとって初恋なんだ。十歳の頃からずっと想ってきた」

「え? 十歳の頃からってどういうことですか?」

 驚く千波に苦笑いしながら続ける。

「やっぱり千波は憶えていなかったか。……俺たち幼い頃に一度会っていたんだ。そこで千波は俺に求婚してきたんだぞ?」

「嘘っ」

 珍しく千波は大きな声を上げて動揺する。そんな彼女が面白くて笑みが零れた。

「本当だ。俺のことを王子様だって言っていた」

「王子様って……」

信じられないようで千波は大きく目を見開いた。だけど俺は今でもはっきりと覚えているよ。俺が王子様みたいだから結婚したいって言う千波の姿を。
< 173 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop