政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「お義父さん、お義母さん、私の話を聞いていただけませんでしょうか」

 少しだけ震えた声で言う千波にみんなが一斉に視線を向ける。するとますます怯えた様子を見せた千波だが、真っ直ぐに両親を見据えた。

「たしかに私たちは、言い伝えがあったから出会うことができ、結婚することができました。……私と航君は住む世界が違い過ぎて、言い伝えがなければ出会うこともできなかったと思います」

 悲しげに瞳を揺らしながら千波は続ける。

「おふたりがおっしゃることは、ごもっともなことです。私より航君に見合う女性は多くおります。父が残した借金の返済に、妹への多額の医療費など私は航君に迷惑をかけてばかりですから。ですが、航君を想う気持ちなら、誰にも負けない自信があります」

 力強い声で言った千波に言葉に、胸が熱くなる。

 俺もだよ、千波。千波を想う気持ちなら誰にも負けない自信があるんだ。

「真面目で優しくて、だけど時々意地悪で……。笑った顔は少年のように愛らしくて、一緒にいるだけで穏やかな気持ちになれる人と出会えたのは、神様が一生に一度だけ与えてくれる最高のプレゼントだと思っています。それほど私にとって航君は、かけがえのない人なんです」
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