政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「少しお茶してから帰ろうか」

「いいですね、なにか甘いものが食べたいです」

「了解」

 案内板に向かい、ケーキやコーヒーがある店を探していると、背後から殺気を感じた。それは航君も感じたようで、繋いだ手の力が強まる。

「千波、絶対に俺から離れるな」

「はい」

 小声で言葉を交わし、航君の合図でゆっくりと振り返る。するといつの間にか背後にいたのは神屋敷さんだった。

 すぐに航君は私を庇うように前に立つ。

「なんの用だ?」

 突き放した言い方に神屋敷さんの表情は激しく歪んだ。

「航さん、どうして私の気持ちを理解してくれないんですか? 航さんに相応しいのは私です。一度はご両親も納得してくれたのに今になって手のひらを返されたし……。それもこれも全部あなたのせいなんでしょ!?」

 憎しみのこもった目を向けられ、恐怖心が全身を駆け巡る。

「今度はどんな手を使ってご両親を欺いたの?」

「母さんと父さんは、俺たちの気持ちを理解してくれたまでだ。そっちこそこれ以上俺たち家族に関わらないでくれ。キミの父親には再三言ったつもりだが、なにも聞いていないのか?」

 航君の言葉に神屋敷さんは唇を噛みしめた。
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