政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 そんな私を見て神屋敷さんは嬉しそうに笑うものだから、ますます怒りが大きくなる。

「千波、落ち着いて。お腹の中の子によくない」

 怒りで震える私の身体を航君はそっと抱き寄せた。

「だけど航君……っ」

「大丈夫、神屋敷には犯した罪の償いはしっかりとってもらうから」

 航君の声は震えていて、彼もまた必死に怒りを鎮めていることに気づいた。

「ここで千波が悔しがったり泣いたりしたら、あの女の思うツボだ」

 航君の言う通りだ。さっきだって私を見て神屋敷さんは笑っていたもの。

 頭ではそう理解できても心がついてこない。せめて泣き顔を見られないように航君にギュッと抱きついた。

「なによ、そうやって見せびらかすように抱きついたりして、自分には航さんがいるって自慢したいわけ? 本当に腹の立つ女ね。どうして航さんはこんなバカな女に騙されっぱなしなのかしら。……大丈夫、私が航さんを助けてあげるから」

 ブツブツと言いながら神屋敷さんはバッグの中から、光るなにかを手に取った。その瞬間、周囲から悲鳴が上がった。

「きゃー!」

「逃げろ!」

「誰か警察に連絡をして!」
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