政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 次々と聞こえてくる言葉に航君から離れて彼女を見る。すると神屋敷さんは鋭利な刃物を両手で握っていた。

「千波!」

 すぐに航君が私を庇うように前に立つ。

「いいか、千波。絶対に俺から離れるな」

「でも、それじゃ航君が……っ!」

「大丈夫だ、なにがあっても絶対に俺が千波とお腹の中の子は守ってみせるから」

 私を安心させるように笑顔で言うと、神屋敷さんと対峙した。

「ナイフを下ろすんだ」

「なに言ってるんですか? これで今からその女を消すんですから、早く退いてください!!」

 冷静に声をかける航君とは違い、神屋敷さんは興奮しているのか声を荒らげた。

「千波には指一本触れさせない」

「……っ! 本気で言っているんですか? そんな女のために航さんは死んでもいいんですか?」

「あぁ、千波を守れるなら本望だ」

 迷いなく言ってくれた航君の言葉は嬉しいけれど、でもそんなの私の本望ではない。私を守るために航君がいなくなるなんて嫌だもの。
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