政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 でも今の私には、どうすればいいのかわからない。下手に前に出たり、神屋敷さんになにか言ったりしたら変に彼女を刺激することになってしまうかもしれないもの。

 ただ航君に守られていることしかできない現状に、もどかしさを感じる。

「そうですか。だけど実際にそうなったら、どうなんですか? 私が本気で刺しにいっても命をかけて守る価値が、その女にはあるのか……見せてください!」

 次の瞬間、悲鳴が響き渡り、航君は私の身体を強く抱きしめた。

 彼に抱きしめられて状況がわからない中、航君が苦しそうに声を漏らした。

「航君?」

 よりいっそう大きくなる悲鳴と、カランッと刃物が落ちる音。考えたくもない不安が頭をよぎる。

「嘘でしょ……。どうして航さん? なぜそんな女を庇うの? 航さんは私と結婚するんでしょ!? それなのにっ……!」

「千波を……愛しているから、だ」

 わっと声を上げて泣く神屋敷さんに、航君は途切れ途切れ言う。

「これでもう、わかった……だろ? 金輪際、俺たちに……」

 なにかを言いかけて航君はズルッとその場に倒れ込む。

「……航、君?」

 倒れた航君から赤い血が床に広がっていく。その光景に目を見開いた。
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