政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「あぁ、航君には一生かかっても返せない恩ができてしまった。父さんの残した借金だけではなく、瑠璃の治療費まで出してくれたと聞いたよ。それと千波のこれまでの生活ぶりも。……千波には本当に苦労をかけたね」

 ううん、そんなことない。だけど声にならなくて首を横に振る。

「こんな父さんのことを『お義父さん』と呼んでくれて、順番が逆になってしまったけど、娘さんを下さいと頭も下げてくれた。千波をどれほど大切に思ってくれているかも教えてくれてね。……航君になら父さん、安心して千波を託すことができるよ」

 航君、そんな素振りはいっさい見せなかったのに。

 彼の優しさを感じ、再び涙が零れ落ちた。

「それだけじゃない、親身に父さんの話も聞いてくれてね。力になるとも言ってくれた。……庵野グループが新しく海外にオープンさせる旅館の経営を任されたんだ。今は本社で勉強させてもらっている」

「本当に?」

「あぁ。絶対に成功させて、少しずつでも恩と借りたお金を返していくつもりだ。だから千波はなんの負い目も感じることなく航君と幸せになりなさい」

 航君はどこまで優しくて、素敵な人なんだろう。時々彼と結婚するのが私でいいのかと不安になるほどだ。でもその分、私も航君を幸せにしたいとも思う。
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