政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「母さんの治療費の足しと、いつも力になってくれる従業員たちに少しでも還元できればと思い、親友の投資話に乗ったんだ。……まさか騙されているとは夢にも思わなかったよ」

 そうだよね、神屋敷さんの父親と父は旧知の仲だったのだから。父の気持ちを思うと胸が痛む。

「それでも父さんは騙されているとは気づかなくてな、父さんが全部悪い、失敗したと思い込んでいたんだ。お前たちにも合わす顔が亡くなり、そんな俺にあいつは仕事と住むところを提供してくれた。そこで地道に働いて借金を返せばいい、千波たちのことなら責任を持って面倒を見ると言ってくれたあいつの言葉を鵜呑みにしてしまったんだ」

「そんな……」

 だけどこれですべて納得がいった。父が私たちを残して蒸発するはずなかったんだ。ちゃんと私と瑠璃の安全が保障されていると理解したから、私たちのもとから離れたんだね。

「騙されていると気づいたのは、ニュースでお嬢さんが起こした事件を知った時だ。だけど、あいつに会うことはもちろん、今さら千波と瑠璃に合わせる顔もなくてな。心配だったけど会いに行く勇気が出ず、一ヶ月ほど過ぎた頃だ、航君が訪ねてきたんだ」

「航君が?」

 嘘、航君そんなこと一言も言っていなかったよ?
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