政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「じゃあキミの家系が、三世代に一度しか女児が生まれないという事実はどう説明するんだ? これはしっかりと調査済みの事実だ」

「それは……っ」

 たしかに言い伝えは事実だと裏付けることになることかもしれない。だからってそれを守って結婚して、二十歳になる瞬間に子供を宿す行為をするなんてありえない。

「俺は言い伝えは本物だと信じている。それに、キミにとっても悪い話ではないだろう?」

 悪い話どころか、申し訳なくなるほどありがたい話だ。借金だけではなく、瑠璃の医療費もサポートしてくれるというのだから。

「金銭的な面だけではなく、妹さんにも最高の環境を用意するつもりだ。完治した後は教育面でもこれまでの遅れを取り戻せるようできる限り援助しよう。それと父親の行方も探しているところだ」

「えっ、お父さんを探してくださっているんですか?」

「あぁ、キミは未成年だ。結婚となれば親の同意が必要だろ?」

 そっか、未成年だと結婚には親の同意は必要なんだ。たとえ自分の願いを叶えるためだとしても、父を探してくれていることは素直に嬉しい。

「ありがとうございます、父のことまで」

「いや、当然のことだ。もちろんキミにもなに不自由ない暮らしを約束する。……どうだろう、俺と結婚して子供を産んでくれるか?」

 もう間違いでも、からかっているだけでもない、庵野さんは一族の未来を背負って私に結婚の申し入れをしているのだとわかった。だからこそ聞きたい。
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