政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「庵野さんは本当にいいんですか?」

「えっ?」

 私の言葉に驚く彼に、思いをぶつけた。

「だってこんなの、私ばかりが得する条件じゃないですか。父が残した借金の額と、瑠璃にかかる医療費をちゃんとわかってますか?」

 それほど私にあなたと結婚して、子供を産むだけの価値があるの? 私はそう思えない。いくら受け継がれてきたことだとしても、その呪いのようなものが今も効力を発揮する明確な証拠などないのに、簡単に受け入れて自分の人生を棒に振ってもいいの?

「あぁ、わかってるよ。その上でキミに話をしている。……キミこそいいのか? 母親の言いつけを守らず、好きでもない俺と結婚しても」

 そう話す彼はどこか苦しそうで目を見張る。

 なぜそんな顔をしているの? まるで自分と結婚することを申し訳なく思っているように見えて困惑する。

「それは庵野さんも同じですよね?」
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