政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 それから航君が言っていた通り、出発して二十分も経つと窓の外には高級住宅街が見えてきた。歴史を感じさせられる家から、近代的な造りの豪邸まで様々な住宅が立ち並んでいる。少し走ると高い塀がずっと続き始めた。

 すごい、どれだけ広いお屋敷なんだろう。……まさかこの塀の向こうが航君の実家ってことはないよね?

 なんてことが頭をよぎった瞬間、見上げるほど高い立派な門扉の前で車が停まった。ゆっくりと自動で開いた先に見えたのは、広大な日本庭園。その中を航君はゆっくりと車を走らせていく。

 それなのにいまだに本宅が見えない。うちも倒産前はそれなりに裕福な暮らしをしていたほうだけど、庵野家の比ではない。これが世界的にも有名な庵野グループの家なんだ。

 呆気に取られていると、やっと旅館のような本宅が見えてきた。玄関前に車を停めたら、四十代くらいのひとりの男性が駆け寄ってきた。

「おかえりなさいませ、航様」

「悪いけど車を頼む」

「はい、かしこまりました」

 そんなやり取りをして先に車を降りた航君を見て、私も慌てて車から降りた。すると男性は運転席に乗り、遠くに見えるガレージへと走らせていった。
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