政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「なんと礼儀がなった可愛らしいお嬢さんだろう。こうして航と並んでいると、もう夫婦のようだ。さあさ、こんなところで立ち話ではなく、家でゆっくりと話をしよう」

「そうだな。おいで、千波」

 腰に触れていた手は私の手を優しく包み込んだ。

「さすが運命の番。すでに仲が良いのはいいことだ」

 そ、そっか。航君はおじいさんを安心させるために触れてきたんだ。だったら私も一々恥ずかしがっている場合じゃない。

 とはいうものの、長い廊下を進む間もずっと手を繋がれたままというのは、なんとも照れくさいものがある。

 おまけに先を歩くおじいさんが何度も振り返って私たちを見ては、微笑ましい目を向けるんだもの。

 居たたまれなくなりながらも歩を進める中、航君がおじいさんに聞いた。

「そういえば、父さんと母さんは?」

 航君の声におじいさんの足が止まる。

「そうだった、あいつらを呼んでこなければいけないな。すまない、千波さん。ちょっと航と待っててくれませんか?」

 そう話すおじいさんは、どこか困っているように見える。もしかしておじいさんとは違い、航君のご両親は私との結婚に反対されている?

 だけど当然それを聞けるはずもなく、私は「わかりました」と返した。

「じゃあ航、千波さんと先に行っててくれ」

「あぁ。……頼んだよ、じいちゃん」

 最後にボソッと呟いた航君の声は、どこか悲しげでますます気になってしまう。
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