政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 それに航君は、これまで一緒に過ごす時間がなかなか取れなかっただろうから、瑠璃が元気になったらできるだけそばにいてあげたらいいとも言ってくれた。

 だからこそ航君とは始まりは普通ではなくても、時間を重ねていけば本物の夫婦になれるかもしれないって思っていたんだけど、親に反対されているかもしれないことも話してくれないのに、その願いは叶うだろうか。

 夫婦って互いの信頼関係の上に成り立つものだと、母がよく言っていた。それをいったら私たちはまだ、最初のスタート地点にも立てていない気がする。

 航君は私のことを信用していないから、なにも話さなくていいって言ったと思うから。

 どんどん気分が落ち込む中、こちらに近づく複数の足音が聞こえてきて我に返る。

 航君には気にせずに仕事してきてと言ったけれど、それはつまり、私ひとりでご両親にお会いするということになる。

 どうしよう、私ひとりで大丈夫? ううん、怯んだらだめだ。だって理由はどうであれ、航君と結婚すると決めた以上、彼のご両親は私の両親になる。これから長い付き合いになるのだからしっかりしないと。

 そう自分に言い聞かせながら立ち上がり、おじいさまたちを待つ。少しして足音が部屋の前で止まり、ドアをノックされた。

「失礼するよ」

 おじいさんの声とともに開かれたドア。おじいさんの後から彼のご両親らしきふたりが入ってきた。

 笑顔のおじいさんとは違い、無表情でいっさいこちらを見ないふたりに緊張がはしる。やはりご両親は反対されていそうだ。

「あれ? 航はどこに行ったんだ?」

「仕事でトラブルがあったようで、書斎にいます」

 航君がいないことに気づいたおじいさんに事情を説明すると、航君のお義父さんは深いため息を漏らした。
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