政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「悪い、会社からだ」

「どうぞ」

 私の返事を聞き、「すまない」と言って立ち上がり、航君は電話に出た。

「もしもし、どうした?」

 いつも遅くまで仕事をしているようだし、休日でもこうして電話がかかってくるのが日常なら、ゆっくり休めていないんじゃないかな。

 ふと、彼の身体のことが心配になる。

「じゃあすぐに今から言うメールアドレスに資料を送ってくれ。確認次第、また連絡をする」

 どこか焦った声で通話を切ると、航君は申し訳なさそうに私を見た。

「すまない、仕事でトラブルが起きて対応に当たらなければいけなくなった。少し書斎で仕事をしてきてもいいか?」

「もちろんです。すぐに行ってください」

 私がそう言ってもなぜか航君はなかなか部屋を出ようとしない。

「あの、本当に私なら大丈夫なので行ってください」

「……わかった、できるだけ早く戻る」

 慌てて航君が出ていくと、部屋には私ひとりだけになる。

 きっと航君の仕事は私が想像する以上に大変なものだと思う。結婚したら私は、すべてのアルバイトを辞めるつもりだ。

 航君にも家庭に入ってほしいと言われたし、私自身も航君の願い通りに妊娠して出産するとなれば、子供のために家庭に入りたい。
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