政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 瑠璃の言う『相変わらず』は、あまり良くないということ。現にここ半年ほどは家に帰れていない。高校も休学したままだし、そろそろ本気で心臓移植を考えたほうがいいのかもしれない。

「私のことよりお姉ちゃんだよ。また痩せたんじゃない? 無理、していないよね?」

「ちょっと太ってきたからダイエット中なの。無理はしていないし、元気いっぱいだから大丈夫」

 心配そうに私を見つめる瑠璃を安心させるように笑顔で伝えた。だけどなかなか瑠璃の表情は晴れない。

「本当に? ……いつもごめんね、私がこんな体じゃなければ一緒に働いて少しでもお姉ちゃんの負担を減らすことができるのに。私、お荷物だよね」

 今にも泣きそうな瑠璃の手を私はギュッと握った。

「なに言ってるの? お荷物なわけないでしょ? 家族は助け合って当然なの! 私もいつもこうして瑠璃に会うだけで元気をもらえているんだから。だから瑠璃はなにも気にしないで、病気を治して元気になることだけを考えていればいいの。それと毎日笑顔でいることも忘れずにね」

「お姉ちゃん……」

 瑠璃は大きく瞳を揺らした後、目に涙を溜めてにっこり笑った。
< 8 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop