政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 アイスコーヒーを飲みながらふと周囲を見回すと、パソコンで仕事をするビジネスマンの姿もある。

 そういえば航君はどんな仕事をしているんだろう。庵野不動産で働いていることは知っているけど、仕事内容までは知らない。

 庵野グループの御曹司だし、もしかしてネットで検索すれば載ってたりするかな?

 スマホを手に取り、彼の名前を入力してみるとさすが庵野グループ。これまでの歴史やお義父さんのことまで書かれている。

 航君の経歴も書かれており、目で追う。

 大学在学中にインターンで海外企業で下積みし、卒業後は営業部で経験を積んだ。今は英語に中国語、フランス語の三ヵ国語を話せるのを生かし、海外営業部で活躍中。ゆくゆくは庵野不動産海外支社の取締役に就任される見通し……。

「航君、将来は海外で働くことになるのかな?」

 もしそうなら、当然私もついていくべきだよね? でも私はそれほど語学が堪能ではない。英語は多少話せるけど、日常会話くらいだ。

 いや、もしかしたら航君は私についてきてほしいと思っていないかもしれない。ひとりでいくつもりかもしれないし……。

 だけど本当に私、航君のことなにも知らなすぎる。

 スマホをテーブルに置き、深いため息が零れる。

 でも知らなくて当然だ。出会ってまだ一ヶ月足らずで、知っているほうがおかしい。だったらこれから少しずつ知っていけばいいよね。

 前向きな気持ちに持っていき、残りのアイスコーヒーを飲み干した時、空いていた前の席の椅子を引く音が聞こえた。
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