たぶん、きっと、すき。
3.君が居た side松田紗月
夜は嫌いだ。
考えなくていいようなことまで考えてしまうし、そうやって考えれば考えるほどドツボにはまって抜け出せなくなる。
どうしようもなく死にたくなる。
毎晩毎晩その繰り返し。
眠れない夜を何度続けたことか。やっと寝れても数時間で目が覚めて、どうしようもない孤独感に苛まれる。
薬なんて大きな発作を抑えるだけの一時的な役割しか果たせない。
結局、この状態を治すのは自分自身の心なんだ。
だから、一生、治らない。
そう思ってしまう。
今日だってそうだった。
どうしようもない孤独感に苛まれ、いてもたってもいられなくなり、外へ飛び出した。
そして、彼は私の元へ走ってきた。
息を切らしながら人懐っこい笑顔で私の前に立つ彼は、わたしのどうしようもない孤独感を消してくれた。
あだ名で呼ばれるのなんていつぶりだろうか。
こんな長時間ストレスを抱えずに人と話したのなんていつぶりだろうか。
彼は私と同じくらいの小さな体で、私にはないとてつもなく大きな優しさを向けてくれた。
会ったばかりの赤の他人にどうしてそこまでしてくれるのだろう。
近所のカラオケ屋。
オールで誰かと来ることなんてないと思っていた。でも、私の肩に頭を乗せて眠っている彼がいる。
無理、させちゃったかな。
私みたいに不眠気味ならまだしも、普通なら眠いよね。