冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす

バッグを肩にかけ直した。財布が入っていることを確認し、スマホを入れる。

「芽衣……?」

「ほかに好きな人がいるなんて知りませんでした。それでもいいって思えたらよかったんですけど、無理みたいです」

「そんなのいない! なにを言っているんだ!」

ジータが〝ピコン!〟と音を鳴らして近づいてくる。

『そうだご主人、こうしたらいかがですか。上書きできなければ別フォルダと言うではありませんか。芽衣さんのことは新規フォルダに分類しましょう』

「ジータ、お前がなにを言ってるんだかまったくわからない。黙ってろ」

『スミマセン』

瀬川さんは肩が上下するほど息が上がっており、私も細い息が消えそうに震えていた。
黙れと言われたジータはショートしたように真っ暗な液晶に戻り、静まり返る。

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