冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
別フォルダに入れてほしいわけじゃない。私は瀬川さんの一番になりたかった。上書きしてほしかった。
バッグをかけたまま立ち上がり、制止する彼を押し退けて玄関へと進んでいく。
「芽衣、待ってくれ! なにか勘違いをしている。俺は、芽衣を……」
「SNSを見てみてください。瀬川さんはきっと私のことを嫌いになります。こんな結婚はしない方がよかったって思うはずです」
「芽衣!」
「ごめんなさい。今夜はひとりになりたいんです」
手を伸ばした彼を遮るように、扉を閉めた。
もう戻る気のないマンションから離れるため、泣き崩れながらも足を止めずに駆け出した。
──さようなら、瀬川さん。