冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす

「そ、そうなんですか……それは大変でしたね……」

どう答えたらよいかわからず空返事に近い相づちを打つと、桐生さんはさらに「ああ!?」と唸ってさらにヒートアップする。

「コンサルティングは機械にゃできねぇんだよ。業界に革命だなんてふざけんな。テメーのせいで、どこの企業も血の通わない安価なコンサルティングに頼るようになった」

それを受けて瀬川さんは応戦するというより、虫を追い払うくらいの調子で言い返す。

「それでプロジェクトが達成しているのだから問題ないはずだ。嫌なら使わなければいい。AIにできることは任せ、対人間でしかできないことにコストを費すのは当然だと思うが」

「簡単に言うな。『ブレイン』が世に出てから市場を荒らされて、人材は縮小してる」

「不要な人材が淘汰されたということだろう。それがなにか悪いのか?」

桐生さんは瞳から光を消して黙った。怒りに震えているようだ。

私も少し、驚いた。瀬川さんの言うことは正しいかもしれないけど、桐生さんの立場では受け入れがたい言葉だろう。
もっと思いやりのある言い方があったと思う。
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