冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
瀬川さんはピンときていなさそうだったが、彼女たちに「トップ・エールではお世話になりました」と会釈をされると思い出したように「ええ」と返した。
当時の取引先の方々だろうか。若そうに見えるのに、ここにいるのだからきっと立場のある女性たちなのだろう。
ヒールを履いたモデルのような彼女たちを前に、私は恥ずかしくなってさらに縮こまる。
「え、その方が奥さまですか?」
私を覗き込むショートカットの女性は、かすかに前下がりの髪を揺らす。
「そうです」
「へー、なんかちっちゃくてカワイーですね」
純粋な意味にとらえることはできず言葉に詰まった。
手の甲を唇に当てて笑を堪えているし、隣の女性と目配せをしている。絶対に、不釣り合いだと思われている。
「は、はじめまして」
「私たち、瀬川社長にすっごくお世話になったんですよ。よくワインとかご一緒させてもらってて」
ワイン? 私は瀬川さんとお酒を飲むどころか、ワインすらほとんど飲んだことがない。
そんなお洒落なお付き合いをしているんだ。