冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
「ありがとうジータ。温度の設定これでいいのかわからなくて」
『どれどれ』
円柱のボディにフリフリの白いエプロンを着けたジータは、器用に動く指を使って説明書をめくった。
私は位置を譲り、彼女(?)にまかせる。
『いいんですよこれで。すぐに熱くなるようです。なにを作っているんですか?』
「ありがとう。パンケーキだよ。瀬川さんと一緒に食べようと思って」
『ではお手伝いします』
ランチを兼ねているため目玉焼きと厚切りベーコンを添えたいという構想を伝えると、ジータはさらに『油分が多いので野菜も摂ってください』とレタスを出し、ザルの中へちぎり始めた。
『いいですね、新妻って感じで。ご主人も喜びますよ』
ふいにそう言われ、本当にロボット?と疑問に思いつつ笑う。
「いいの、あんまり期待しないことにしてるから。迷惑かもしれないし」
『なぜです? ご主人は芽衣さんにベタ惚れなんですから、喜ぶに決まってます』
「……え? どこらへんが?」
銅板に生地を落としながら横のジータへ体を向けたため、丸い生地の形がチョンと崩れる。