挑発のライン・アイドル育成計画とは(恋する瞑王シリーズ3)
<天界神殿・3>

神蔵が執務室を出ようとすると、
神殿の廊下で
話声が聞こえて来た。

「瞑王が正式決定した。
今度は属性<女>だ」

カツーン

神蔵の角を握っていた手が
ゆるみ、角が床に落ちた。

放心したように立っている、
神蔵の肩を、あの上級神官が叩いた。

「神蔵、結果出したな。
お前のほうが目立っていたから、多少議論があったが、
別の候補よりいいだろうという話になった」

「・・そう・・ですか・・」
神蔵の目は、遠くを見ていた。

「いやぁー、神蔵レオンちゃん、
かわいいからな。
俺だってファンになるぞ」
笑って、上級神官は立ち去った。

もう手が届かない・・
闇と孤独の中で、エリカは何を
思うのだろう。

あの、
泣きそうなルビーの瞳は・・
神蔵の胸を締め付けた。

壁に手をついて、うつむいた。
鼻の奥がつーんとなり、
涙があふれる。

こんな感情・・・
初めての体験だった。
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