猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~
       パシャン……――

 

 パシャン……――

     

     ザァァァァ……――





「天気予報……晴れって言ってたのにな……」

予報を信じたから、傘なんて持っていない。

コンビニかどこかで買えば良いのかもしれないけど、気が付いた時にはもうどしゃ降りで傘なんて差したって差さなくたって同じだった。

この雨の中傘も差さずに歩いているもんだから、すれ違う人が不審な目を向けて来ていたけどそれもどうでも良かった。

「せっかくオシャレして来たのに、台無しになっちゃったな……」

プロポーズをされると思い込んでいた私は、いつにも増して気合を入れてオシャレをして来た。

もしかしたら、『高級なレストランでサプライズ!』なんて事もあるかも!と妄想しながら。

……まあ、別れ話と言うサプライズはあったけれども。

「でも思い返してみると、アイツは普段着だったな……」

普通にシャツにジーパンと言ったいで立ちで待ち合わせ場所に登場した時点で不振に思えば良かったのか。

「フラれるまでまったく気にならなかった」

それくらい、舞い上がっていたって事か……。

見上げた空は、どんよりとした雲に覆われてその隙間から大粒の雨が零れ落ちて来る。

一向に止む気配のない雨。

このまま雨に濡れてもいい事ないって分かっているから、流石にどこかで雨宿りをしようか。

でもどこかのお店に避難するとしても、こんなずぶ濡れのままお店に入るなんて迷惑行為は避けたい。

「あ、そう言えば……」

この先に公園があったはずだから、そこで雨宿りをしよう。

確か、屋根の付いたベンチがあったはずだから。

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