猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~
そのカップから漂う紅茶とミルクの優しい香りが、すさんだ心に少しばかり癒しをくれた。
「美味しそう……」
「温かい内にどうぞ」
「あ、はい」
いただきます、とお辞儀をして一口飲んだ。
紅茶の渋味がミルクでまろやかになっていて、飲みやすい。
かと言って紅茶本来の風味が無くなった訳ではなく、ミルクと調和されていて、とても――、
「美味しい……」
ボソッと呟く。
「それは良かった」
おじさんが優しく微笑む。
ミルクティーの温かさと甘さ、笑顔の優しさがじんわりと心に広がって行く。
なんだか妙に切なくなって、ポロポロッ……と、涙が零れた。
一度流れ始めた涙は、待ってました!と言わんばかりに後から後から零れ落ち、ポタポタとミルクティーの表面に波紋を作る。
……悔しい。
泣きたくなんかないのに。
「ニャーン……」
さっきの子猫が、カップに添えている私の手に擦り寄って来る。
雨で濡れていた体はすっかり乾き、ふわふわと温かい。
おじさんがそっとハンカチを差し出してくれて、
「……今度はハンカチで大丈夫そうですか?」
と、言った。
「美味しそう……」
「温かい内にどうぞ」
「あ、はい」
いただきます、とお辞儀をして一口飲んだ。
紅茶の渋味がミルクでまろやかになっていて、飲みやすい。
かと言って紅茶本来の風味が無くなった訳ではなく、ミルクと調和されていて、とても――、
「美味しい……」
ボソッと呟く。
「それは良かった」
おじさんが優しく微笑む。
ミルクティーの温かさと甘さ、笑顔の優しさがじんわりと心に広がって行く。
なんだか妙に切なくなって、ポロポロッ……と、涙が零れた。
一度流れ始めた涙は、待ってました!と言わんばかりに後から後から零れ落ち、ポタポタとミルクティーの表面に波紋を作る。
……悔しい。
泣きたくなんかないのに。
「ニャーン……」
さっきの子猫が、カップに添えている私の手に擦り寄って来る。
雨で濡れていた体はすっかり乾き、ふわふわと温かい。
おじさんがそっとハンカチを差し出してくれて、
「……今度はハンカチで大丈夫そうですか?」
と、言った。